飲み物・お酒
カリフォルニア、メディア王のワイナリー 「ハースト・ランチ・ワイナリー」へ
M. SATO
2015/11/06
今回は、「婦人画報」編集部Tによる、カリフォルニアワイン現地取材レポートをご紹介します!
★★★
映画『市民ケーン』のモデルになった W・ランドルフ・ハーストとは…?
アメリカ映画史上最高傑作といわれる『市民ケーン』をご存じでしょうか?
当時25歳のオーソン・ウェルズの処女作で、自ら脚本・監督・主演を務め、
アカデミー賞脚本賞も受賞した作品です。
この主人公“ケーン”のモデルとなったのが、アメリカのメディア王、
ウィリアム・ランドルフ・ハーストです。
カリフォルニア出身、ハーバード大学を中退し、23歳で父の所有するサンフランシスコの新聞社の社主となり、その後、ニューヨークへも進出。新聞、雑誌、テレビ、ラジオなどを次々と買収して一大メディア帝国を築いていきます。
「ハースト・キャッスル」の書斎に掛けられた、W・ランドルフ・ハーストの肖像画。
晩年は子どもの頃から大好きだった地、カリフォルニアのサンシメオンの丘にこんな豪華なお城まで造ってしまいました。
サンシメオンの丘にある「ハースト・キャッスル」には、年間75万人の観光客が訪れる。
ここには、ゴシック様式の書斎やローマ様式のプールもあり、地下には、世界各国の銘醸ワインを揃えたセラーもあります。
動物園や植物園、牧場……などなど、土地の総面積はマンハッタン島6つ分にもなるといいます。
訪れるハリウッドスターのために作られたというローマの浴場を模したプール
城からサンシメオンの海を望む。眼下に広がる土地もかつてハースト家のもの。
メディア王のワイナリ―へ!
そのメディア王の名を冠したワイナリーが、サンシメオンのキャッスルから車で1時間ほど離れたパソ・ロブレスにある「ハースト・ランチ・ワイナリー」です。
この夏、収穫直前のワイナリーを訪れました。
粘土質で保水力の高い土壌。
ここは、現在、ハースト家の末裔、スティーヴ・ハースト氏とジム・サンダース氏が共同経営するワイナリーです。広さは約70エイカー、シラー、プチシラー、プチヴェルド、テンプラニーニョ、マルベックの5種類のぶどうを栽培。すべて環境にやさしいサステナブル農法で育てています。
寒暖差の激しいなか、糖度25度の甘みの凝縮したぶどうが生まれる。
敷地内には、オーナー・ジムさんの素敵な邸宅とプール付きのガーデンまであります。
「ハースト・ランチ・ワイナリー」の樽熟成庫。
ワイナリー内にある、ジムさんの邸宅のプール。
真夏は35~40度にもなるカリフォルニアのパソ・ロブレス。雨はほとんど降らず、アメリカの中でも日照時間がとりわけ長いことで知られています。
燦々と降り注ぐ太陽を浴びて育ったぶどうで造られたワインは、赤も白も凝縮された果実味がたっぷりつまった力強さと芳醇さが特徴。それでいて、エレガント。ワインだけでも、料理と合わせたマリアージュも存分に楽しめます。
そして、意外や意外、実は日本料理との相性も抜群なのです。
その詳細は次回にて!(続く)
撮影=森山雅智