クリスマス

シュトーレンの食べ比べレポ

M. SATO
2016/10/31
シュトーレンの食べ比べレポ
今回は、ライターの加藤郷子さんによるゲスト投稿です。
どうぞご覧ください!

★★★

ライターの加藤郷子です。今回は、「婦人画報のおかいもの」で、いくつものシュトーレンの原稿を担当させていただいたご縁で、クリスマスが近づいたら、やっぱり食べておきたいシュトーレンについてご紹介します。

まだ少し早いかもしれませんが、そろそろクリスマス気分を盛り上げていきましょう!

シュトレンホール画像 イシカワ&ノリエット

シュトーレンは、ドイツやフランス・アルザス地方で食べられている発酵菓子。真っ白の粉糖をたっぷりかけて仕上げることが多いシュトーレンの様子は、おくるみにくるまれた幼子イエス・キリストの姿に見立てられているとも言われていて、クリスマスと縁が深いお菓子です。

最近は、日本でもあちこちのお菓子屋さん、パン屋さんで見かけるようになってきました。12月のはじめ頃から少しずつ切り分けて食べるのが本場の慣習なので、そんなヨーロッパの文化をおうちでも楽しんでみませんか?

「婦人画報のおかいもの」でも、何種類ものシュトーレンを紹介しています。ひとくちにシュトーレンといっても、各パティスリー、ブランジュリーによって、こだわりどころはそれぞれ。

シュトレンカット画像 ラヴィエイユ2

上の写真は「ラ・ヴィエイユ・フランス」のもの。溶かしバターにひたして仕上げるというだけあって、口に含むとバター香りがじんわりと口に広がります。

 

シュトーレンは、切る場所によっても、あたるドライフルーツやナッツが違うので、食べるたび、味の印象が違うことも。また、日が経つごとに熟成して味が変わるので、毎日、新たな気持ちで楽しむことができるお菓子なんです。だからこそ、数日で食べきるのではなく、ちょっとずつちょっとずつ毎日楽しむのがおすすめ。

シュトーレン並び画像2

薄く切って並べてみると、似ているようで、それぞれ特徴が違うことが分かります。よく見ると、白っぽい“あん”のようなものが入っているシュトーレンが多いことに気がつきませんか?

%e3%82%a4%e3%82%b7%e3%82%ab%e3%83%af091525149f

↑は、「エプルヴェ イシカワ」。

%e3%83%9e%e3%83%a2%e3%83%b3091525149d

↑は、「マモン・エ・フィーユ」。

anne091525149g

↑は、「&Anne(アンドアン)」。

 

それぞれ、目立つように入っている、この白い“あん”のようなものは、じつはマジパンです。棒状に伸ばして、生地に巻き込まれていることが多いので、切り分けると円形のあんのように見えます。シュトーレンに必ず入っているわけではないですが、マジパン入りのものは、アーモンドの独特の風味が加わり、シュトーレンらしさをアップしてくれる気がします。

 

ちなみに、「エプルヴェ イシカワ」は、口に入れた途端に広がるスパイスやラム酒の香りがクリスマス感を高めてくれます。「マモン・エ・フィーユ」は、3種類のフルーツ漬けをブレンドしている、超こだわりの一品。「&Anne」は、濃厚すぎないやさしい味わいで、本格派はちょっと苦手という人にも素直においしい!と感じさせてくれます。

 

%e3%83%aa%e3%83%99%e3%83%ab%e3%82%bf%e3%83%bc%e3%83%96%e3%83%ab091525149e

シュトーレンには、レーズン、オレンジピールなどのドライフルーツと、アーモンド、くるみなどのナッツが入っているのが一般的です。そんな具材に注目して、シュトーレン選びをするのも楽しいもの。

例えば、↑のシュトーレンは、「リベルターブル」のもの。なんとマロングラッセがごろんと入っていて、切ったときにそこが当たれば、ラッキーな気持ちになれるはず。しょうがのコンフィが入っているのもおもしろいですよね。

 

hanakago091525149b

一方、↑のシュトーレンは、「HANAKAGO」。こちらは、国産レモンピールのおいしさに惹かれ、ほかのドライフルーツは入れず、レモンピール押しで作られた一品。爽やかで、ほかのシュトーレンにはない味わいに出会えます。

 

%e3%83%8e%e3%83%aa%e3%82%a8%e3%83%83%e3%83%88091525149a

最後に、ちょっと特徴的な「ノリエット」の、けしの実入りシュトーレンをご紹介。ドイツなどでは、よく作られるものですが、日本ではまだ珍しいかもしれません。うずまき状に焼きこまれているのが、けしの実ペーストで、切って供するとちょっとした見た目のアクセントに。黒ごまのような独特の香ばしさが加わり、より現地の本格的な味わいを伝えてくれます。

 

という具合に、一口にシュトーレンと言っても、焼き込まれているドライフルーツやナッツ、使われているスパイス、フルーツを漬けるときの洋酒なども、お店によってさまざま。食べ比べてみるとそれぞれにおいしく、シュトーレンの魅力は尽きないなと感じます。ぜひ、1種類と言わず、数種を取り寄せ、食べ比べながら、クリスマスまでの日々を楽しんでください。

 

どのシュトーレンも日が経つごとに、どんどんそれぞれの味わいが渾然一体になじみ、さらにおいしくなるので、いくらおいしくても、買ってすぐに食べ切らないようにしてくださいね!

 

 

【加藤郷子さんプロフィール】

出版社勤務を経て、2004年に独立。食&住のフィールドで、フリーの編集者、ライターとして、雑誌&書籍づくりに携わっている。最近、担当した書籍は、『アートと暮らすインテリア』(パイ・インターナショナル)、『子どもといっしょに季節の食しごと』(マイナビ)など。

 

新着記事

アーカイブ